Climateファミリーに会おう
第2回
「The Sims™4 Seasons」は、ゲームの土台そのものに変化をもたらすパックです。シムの毎日に影響を与える天候、ホリデー、シーズンなどが追加されることで、新しいドラマの可能性が広がります。「Climateファミリーに会おう」のシリーズでは、一家の一年を追う形でこの新パックがもたらす世界を、他のパックからの要素も交えつつ楽しく紹介していきます。一家のキャラクターは、今後「ギャラリー」で公開されます(プレイには「The Sims 4 Seasons」が必要です)。
今回は全4回シリーズの第2回。第1回はこちらでご覧になれます。
第2回:冬休み
冬祭りの朝…
ニコラス・クライメイトは玄関ポーチから、前庭を一面に覆う厚い雪を見渡しました。姉のサマーは2階で電話をかけています。ママのジャニーンは冬祭りの準備を全部終えて、ほっと一息、ようやくのお昼寝中です。そしてパパ、アーサーは周りの音も聞こえないくらい、ホリデーツリーの飾り付けに集中しているように見えます。
そう…誰もニコラスを見ていません。冒険に出かけるチャンスです。
ニコラスはポーチから外へ勇んで足を踏み出しました。誰かが見ていれば、幼い男の子がおぼつかない足取りで、よたよたと階段を降りる様が見られたでしょう。地面に着くと、雪がクシャッと長靴の下で潰れます。ニコラスは幼い頬を真っ赤にして白い息を吐きだし、物置小屋へと駆け出しました。そこにプレゼントが隠されているに違いないからです。
小屋までは、20フィートあまり。その姿は思ったより大きく見えます。近づくにつれ、小屋の扉は見上げるように背が高くなっていきました。
あと10フィート。秘密のお宝を目指して、小さな足は進み続けます。もう目と鼻の先。
あと5フィート。ギギィと音を立てて小屋の木製の扉が開いた先には、山のように積まれたプレゼントが待っているはずです。きれいに施されたラッピングなんて関係ありません。ビリビリと剥がして中身を確認してやるつもりです。
あと数歩…
「コラ、おチビさん、何をやってるんだ」、パパが現れニコラスをさっと抱き上げます。「そこには、お前が用のある物なんてないぞ」。
タイヘン!捕まってしまいました!敵は大物!一家のボス… パパです。
ニコラスは、高い高いからパパの大きな背中の上にぐるっと乗せられて、大はしゃぎ。本当のところ、プレゼント探しにそんなに興味があったわけではありません。冒険がしたかっただけなのです。物置小屋に入ることは禁じられていました。ニコラスは、中にどんな秘密が隠されているか、ずっと気になっていたのでした。
パパはニコラスを地面に下ろし、一緒に雪で遊び始めました。ふわっと積もった白い雪が宙に舞い上がり、二人は笑いながら、息を切らしてじゃれ合いました。また雪が降ってきましたが、夢中になった二人は気づきません。冬の刺すように冷たい空気も、少しも気になりませんでした。
もちろん、パパの顔めがけて大きな雪玉が飛んで来るのにだって、気づいていません。
ベシャ!サマーもさすがに雪玉を家族の一番下、自分の小さな弟に投げつけることはしませんでした。それに、不意打ちを食らったパパの顔!ニコラスはただびっくりしています。
パパは顔に貼り付いた雪を払うと、すぐに腰を折って雪を掴み、丸めた雪玉をサマーに投げ返しました。サマーはというと、笑いながら家の角を回って逃げて行きました。
「よくもやったな!」、パパはお冠のご様子。「本物の雪合戦を教えてやる!」。
「全員、今すぐ家の中に戻らないと、風邪をひくわよ!」。
ママが昼寝から起きてきたようです。小さなニコラスのことを心配しています。
「ママだっ!」、3人の“子供たち”が一斉にうめき声を上げました。完璧なコーラスを見せた3人にママは告げました。
「いいわ、みんなプレゼントはいらないのね?」。
ママはくるっと向きを変え家の中に戻ってしまいました。その後に、残された家族たちの慌てた足音が続いたことは言うまでもありません。
冬祭りの夕刻…
「雪で覆われた街がとてもきれい…」。San Myshunoの友人の集合住宅を訪れたママは、部屋の前でつぶやきました。
「冬祭りは毎年が素敵だよ。僕の一番好きなお祭りだ」、パパが言葉を添えます。
一家がここに着くまでの道すがら、San Myshunoは、まるでおとぎ話から出てきたかのような美しい冬の光景で満たされていました。鮮やかなランタンに雪だるま、屋台ではホットチョコレートが売られ、たくさんの家族が、ブーツとマフラーで寒さに備え、肩を寄せ合いながら行き交っていました。
家の中に入ると、子供たち二人は、足元にプレゼントが山と積まれたホリデーツリーに一目散に駆け寄りました。
「ほら、食事の後にしよう」、子供たちと同じようにプレゼントに気を惹かれている様子をにじませながら、パパが告げました。
おいしそうなハムもちゃんと付いた、素敵な冬祭りのご馳走が待っています。収穫祭のご馳走にも負けていません。ニコラスにとっては、初めてのご馳走です。ホリデーのために特別に用意された、きらきらと輝くような、ほっぺたが落ちそうなご馳走たち。ニコラスは全部が気に入りました。
「さて、ご馳走も終わったことだし」 、 やがてママがそう告げました。
すると、お話に出てくる通りの格好をしたファーザー・ウィンターが現れ、ニコラスにプレゼントを渡してくれました。みんなは笑い声を上げて、ツリーに駆け寄ると、プレゼントの包みを開ける作業に取り掛かり始めました。
チン!チン!
みんなの注意を引くと、ママが咳ばらいをして話し始めました。「今年は小さなニコラスが加わって素敵な一年になりました」。スミス夫妻は微笑んで、互いの肩を抱き寄せています。
「サマー、あなたはお姉さんとしてとても頑張ってくれたわ。ありがとう。あなたは寒いのが嫌いだから、パパと相談して、冬休みはどこか暖かい所で過ごそうと決めました。きっと楽しい旅になるわ。冒険と言っても良いかしら。ニコラスにとっても、広い世界を見る初めての体験になるはずよ。だから… 」。
そこで、待っていられなくなったパパが、大声で告げました。「みんなでSelvadoradaに出かけるんだ!」。
途端、サマーが両手を合わせて悲鳴を上げ、ニコラスは姉が喜んで騒ぐ様子にびっくりしてしまいました。

数日後、Selvadoradaにて…
「それで、寺院にダンスに、珍しい料理があって、もしかすると呪いの危険もあるかもしれなくて、おまけにジャングルは秘密が一杯…」。
「パパ、深呼吸!」、サマーがパパに息継ぎを命じました。「おねがい、少し、落ち着いて」。
「それより、この景色を見てくれ!」。パパは、すぐさま馬鹿みたいな土産帽子を買って被り、地元民はもとより、ママにサマー、果てはニコラスから、あきれた視線を投げかけられています。
ともあれ、冬であっても、Selvadoradaの暑さは本物です。
旅行の間にやりたい事が多すぎて、パパとママはやむなく別行動を決断しました。
「僕はニコラスを連れて市場に行ってみる」、パパが申し出ます。
「二人とも気を付けてね」、ママは心配そうです。
もう歩き始めていたパパは、顔だけ振り返って「大丈夫!」と叫ぶと消えてしまいました。「さあマシェットを買って、蛇退治に挑戦だな」。ママに聞こえないと確信した途端、パパは何やらママに怒られそうなことをつぶやいています。
「私たちは泳ぎに行きましょうか」、ママはサマーに提案しました。
ようやく楽しめるとばかりに、サマーの顔が明るくなります。「もう行かないのかと思ってた」。
二人はブーツを履き、ジャングルの道を進み始めました。途中、ちょっとした遺構でお宝掘りにもチャレンジして、遺跡の前で自撮りも楽しみ、少し不安な吊り橋では、素晴らしい眺めを堪能することができました。
「ちゃんと点検されてるのかしら?」、揺れる吊り橋を渡り終えたママがつぶやきます。
そしてついに、古代文明が残した、装飾が施された見事なため池に到着しました。二人は喜びに声を上げながら水の中へ飛び込み、日中のジャングルの熱気から逃れて一息つきました。ところが運命はいたずらなもの、最高の一日を楽しんでいた二人を突然の大雨が襲ったのです。
「信じられない!」、ママが悲鳴を上げています。「暖かい冬を過ごそうと、こんな遠くまで旅して雨に降られるなんて、呪われてるわ!」。
ところがサマーは、涼しい顔で口に笑みを浮かべてため池を泳ぎ回り、こう答えたのでした。「いいじゃない、ママ。これが呪いなら、私は大歓迎!」。
以上、「The Sims 4 Seasons Expansion Pack」(※)の提供で“Climateファミリーに会おう”第2回をお送りしました。本パックはPC・Macで2018年6月22日発売です。その他に、「The Sims 4」、「 The Sims 4 City Living」(※)、「The Sims 4 Parenthood」(※)、「The Sims 4 Jungle Adventure」(※)からのコンテンツも提供に含まれています。いずれも、PC・Mac版をOriginで好評発売中です。
(※)プレイには「The Sims 4」ゲーム本編(別売)と、すべてのゲームアップデートの適用が必要です。本パックの必要動作環境をご確認ください。
