「Unravel」の開発会社、Coldwoodを紹介

皆さん、こんにちは。マーティン・サリンです。 ここ数か月の間、“「Unravel」ってColdwoodの処女作なの?”ということをよく聞かれるので、今回は少しお時間をちょうだいして、Coldwoodの正体やこれまで手がけてきた作品、それから「Unravel」のようなゲームが出来るまでの経緯をご紹介したいと思います。 実は、Coldwoodの歴史は意外と長く、これまでに数多くのゲームを世に送り出しているんですよ。
すべての始まりは2003年。スウェーデンのゲーム開発スタジオの先駆者の1社だったDaydreamが、その歴史に幕を下ろしました。 そして、Daydreamで働いていた6人がゲームの開発継続を決意し、拠点はそのままウメオに置き、Coldwoodを設立しました(当初はNorth64という名前でしたが、誰にも正しく読んでもらえなかったため、会社名を変更せざるを得ませんでした)。

初期のころは、Coldwoodの創業者メンバーの共通のバックグラウンドであるC64やAmigaのゲームに着想を得た、小さなデモを多く作っていました。 そのうちの1つの雪が登場するデモがColdwoodの処女作となりました(アルペンスキーのゲーム)。 これが大ヒットし、同様のゲームを数多く開発。 これが、私が入社した2005年当時の状況です。
そのときは、開発するゲームについてある種実利的な姿勢でした。 ゲームの開発はワクワクする仕事であるという哲学がベースにあり、仲間と共に仕事するなかで数えきれないほどの楽しいことを経験してきました。なので、どんなタイプのゲームを作るかということには特に執着していなかったんです。 比較的小さなゲームをいくつも作っていましたね。ほとんどがスキーやスノーモービルレースといったスポーツ路線でした。 ほんのわずかな予算と最低限の開発期間で取り組んでいましたが、生産性は驚くほど高く、非常に仲の良い友達同士という感じでした。
でも、結局、もっと“自分たちらしさ”のあるものを作る必要があると感じるようになりました。 最初は純粋にテクノロジーだけに集中してみることにしました。 いつも物理法則ベースのゲームを作っていたので、完全に物理が主体の格闘ゲームのアイデアが浮かびました。 それが最初のビッグプロジェクトになりましたが、はっきり言って、もっとうまくできたんじゃないかな…。 最終的に完成したゲームは、どれを取っても目標からはるかにかけ離れたものでした。ただ、そこから多くを学べたというのは良かったです。

まず悟ったのは、自分は技術面に集中するだけでは不十分だということです。 何が言いたいかというと、あらゆる失敗とは裏腹に、その格闘ゲームは非常によく売れたんですね。 かなり多くの人に手にとってもらいました。 それが意味することに気づいたときは、ちょっとショックで…。 つまり、何十万人もの視線を一身に集めたのに、何も有意義なことを伝えようとしていなかったんです。 時間を無意味に使わせてしまって、 なんて無駄なことをしたんだと思いました。 これが転機になりました。それからは、些細なことでも壮大なことでもいいから何か大切なメッセージを伝えられるもの、何か与えることができるものが作れればいいと思うようになりました。
2つ目に気が付いたのは、自分のゲームの核を裏切らないことの大切さです。 妥協できる面はさまざまですが、ゲームの核心部分で妥協してしまったら終わりです。 何を作っているのかを把握して、ほかのメンバーともきちんと共有しなければなりません。
3つ目の教訓はシンプルですが大切なものです。 “ゲームの開発は楽しくあるべき”。これです。 当然、常に若干のストレスを感じながらの作業になるでしょうし、きつい仕事が山ほどあります。でも、楽しくなくなってしまったら、それは道を踏み外してしまったということです。 Coldwoodでは常に楽しく仕事をしていて、緊密に結ばれた仲間の集まりのような会社です。 まだ会社を続けられているのは、この要因が大きいと思います。 あの格闘ゲームの開発中は、Coldwoodのみんなは誰も楽しめなかったんじゃないかな。 私は全然楽しくなかったです。 だから次に作るものは、自分たちが心から信じられて、情熱を抱くことができて、かつ楽しく開発できるものでなければならなりませんでした。

こうしてたどり着いたのが「Unravel」です。 心から素直に信じられて、意味のあるメッセージを伝えられる、個人の根幹に関わるものを作らなければという必要性から生まれました。 Coldwoodの全員が胸を張ることができ、できることならプライヤーの琴線に触れる―そんな作品を作りたかったんです。 私はとにかくそれを素直に実現したかったのでしょう。 こうした経緯があって、「Unravel」は今の形になりました。この開発に取り組むことができて最高に幸せです。
読んでいただきありがとうございます。
マーティン・サリン
@monkeybeach
