リード・レポート

フューチャー・ライジング

[2048年12月、ノーパット・ニュースネットワークで行われた「リード・レポート」の放送からの抜粋]

浜崎[録音]：我々は、超大国が無視することを選んだ国々の代弁者だ。我々は声を上げ、お前たちは聞くことになる。千花弁連合はもはや、他者に運命を左右されるのを傍観するつもりはない。この世界の未来は我々が作る。チリは始まりに過ぎない。

ミサリ・リード：昨日放送された、連合地上軍第9大隊のリーダー、浜崎直美氏のコメントです。本日早朝、チリ沿岸に到着した連合軍は、内陸部への進攻を開始しました。彼らは目標を包み隠さず公開しています。アタカマ砂漠にあるリチウム鉱山の町です。一見何の変哲もないエル・アリカントの村には、世界最大級の帯水層へのアクセスという秘密が隠されています。

もし連合軍がこの領域を占拠すれば、アメリカ大陸全体、そして西側諸国全体に悲惨な影響が及ぶでしょう。そしておそらく世界で最大にして、最も決定的な「通貨」である水を「人質」に取られ、脅迫が行われることになるのです。

嵐のごとく東方から台頭してきた連合軍は、瞬く間に世界中の国々から同盟者を獲得し、ノーパットの支持者には聞き覚えのある叫び声で団結しました。それは、自分たちが世界全体から取り残され、裏切られたという強い思いです。

千花弁連合の急速な台頭については、推測の域を出ませんが、このイニシアチブが何年もかけて綿密に組織化されたものであることを示すリーク文書が多くあります。今日は、自分たちの故郷を守るために戦っている地元の民兵の代表が通信で語ってくれました。セキュリティ上の理由から、彼らの素性は伏せられています。声明文は作成済みですよね？

[検閲済み]: 視聴者の諸君。お前たちはこの戦いを、終わりのない戦争の一つに過ぎないと思っているかもしれない。だがアタカマの人間にとって、これはまさに我々の生存をかけた戦争だ。東側諸国も西側諸国も、これは資源の問題だと言うだろう。我々にとって問題なのは、命だ。家族。故郷。最後の守護者が倒れるまで、我々は戦い続ける。

超大国は現れては消えていく。砂漠は永遠だ。我々は諸君が来る前からここに居て、諸君が消えた後も居続ける。ビバ・チリ、ミェルダ！ – [雑音]

ミサリ・リード: もしもし？どうしたの？[長い沈黙] ノーパット諸君、今チリの通信網が遮断されたとの知らせを受けた。連合軍の攻撃が始まったようだ。

所在不明

ノーパットは一夜にして姿を消すものではありません。

少なくとも、それが一般的な社会通念とされています。新しい依頼、家族、または退屈によって立ち去ることはあっても、正当な理由なしに姿を消すことはない、と。

しかしこの3年間、数多くの報告によって他のことが示唆されています。忠誠を誓う兵士たち、良き友人たちの中に、作戦の真っただ中で行方不明になり、二度と姿を現さない者がいるというのです。ノン・パトリエイテドであるという以外、彼らに共通点は見つかっていません。

これは信号、救難要請です。こうした行方不明のノーパットについて何か情報をお持ちの場合は、「リード・レポート」にご一報ください。私は彼らの名前を探しています。やがて彼らの物語が語られるでしょう。私たちは互いの安全を守らなければなりません。

今夜、私たちは無線を使って行方不明となった兵士のチームメイトにインタビューします。それでは準備ができたら、お話しください。

ノーパット
やあ、また声が聞けて嬉しいよ、リード。

ミサリ・リード
こっちも嬉しいわ。最近は連絡を取るのも大変で… どのように手伝えるか？

ノーパット
聞いてほしい話がある。君なら信じてくれるだろうと思って。ERFや司令官、ダークマーケットにまで当たってみたが、誰も信じてくれなかった。たくさんのノーパットが行方不明になっているだろ？奴らが気にかけるわけもない。

ミサリ・リード
彼らがどこに行ったのか心当たりはある？

ノーパット
いいや。だが、作戦の真っ最中に銃と無線を置いてどこかに行ってしまう奴なんていないだろ？俺たちよく互いに話し合う。誰かが抜け出したり、殺されたりしたならば分かる。だから奴らはなぜ俺たちに――

ノーパット
……

ミサリ・リード
ねえ？どうしたの？

ノーパット
あいつが闇に―― 引きずり込まれていくのを何カ月も――――

ミサリ・リード
…信号が途切れた。技術班、通信を回復できない？

リニューアルデー

2043年11月15日。エジプトのシンセコ社施設周辺の砂漠に、強力な嵐が降り注いだ。シアウォーター2が成功したのだ。毎年、何百万人ものノーパットがこの出来事を記念する。彼らはそれを「リニューアルデー」という。オズとその仲間が、自分たちの未来を切り開く力をついに手に入れた瞬間を称えるものだ。

これを受けて、西側と東側の軍事組織は、世界各地のノーパットの拠点に全面攻勢を開始した。ノーパット軍は反撃に転じ、超大国に大敗を喫した。オズは、2040年のブラックアウトにCIAの特別作戦司令官ノア・ヴォルフが関与していたことを示す証拠を公表し、アメリカの屈辱をさらに深めた。この暴露によって、アメリカは世界的な非難を浴び、ヴォルフは身を隠すこととなった。彼の行方はいまだ不明である。

全世界が注目する中、オズはノーパットの主権国家「ナマクワランド」を築いた。過去5年間、シアウォーターの技術は地域全体に展開され、かつて不毛の砂漠だったリシュテルスフェルトは、ノーパットの「故郷」となった。

シアウォーターの技術を持つダークマーケットは、すぐさまこの奇跡の再生システムをナマクワランドの「国境」を越えて輸出することに成功した。技術大手のノードヴィックとの長年のパートナーシップにより、崩壊した数十の第三世界諸国を再建した。北半球における彼らの最新の取り組みに、欧州連合の再来を予想する声さえ上がっている。

2048年の世界は、アークエンジェル・コーポレーションが台頭し、AIやロボットの飛躍的進歩、特に兵士のための高度な義肢装具の開発に成功したことで、大きく様変わりしている。希望すら感じるほどだ。リニューアルデーの5周年を記念して、様々なイベントが開催される予定だ。

しかし、人類の進歩を振り返るとき、これまでの争いに思いを馳せずにいられない。

ここ数日、チェコ共和国で東部軍の増強が未確認の通信で明らかになり、緊張が高まっている。その先頭に立つのは、この地域における重要な鉄道路線を確保しようとする精鋭部隊「ノバグループ」である。地元のレジスタンスである「モラヴィア警備隊」は、西への新たな進出を阻む存在であり続けた。欧米勢力とのつながりが指摘されており、全面戦争に発展するのは時間の問題だと懸念する声も少なくない。