「バトルフィールド 1 Turning Tides」北海アップデートの配信でゲーム中の全銃器に大幅なバランス調整が施されました。以前より要望の高かったこの調整は、長い時間をかけて準備されてきました。この記事では、主な調整の内容と、調整により全体としてどんな効果が想定されているかをご紹介します。シニア・ゲームプレイデザイナーAlex Sulmanが解説します。
武器のバランスとキルタイム(TTK)とは?
「武器のバランス」には複数の要素がからみます。個々の武器レベルでは、総合的な性能の問題と言い換えることができ、当然、その性能は複数の要素から決まります。1弾当たりのダメージ、連射速度、マガジンサイズ、反動の強さと種類、1射ごとの弾の“拡散率”、最適距離、腰だめかエイムダウンか… その他にも多くの要素があります。
そして、これらの要素の多くで、武器ごとの違いも考える必要があります。異なる武器の“ファミリー” – サブマシンガン(SMG)、ショットガン、軽機関銃(LMG)、自動式ライフル(SLR)、ボルトアクションライフルのそれぞれが、リアリスティックな形で異なる個性を持ち、かつ役に立つ物でなければなりません。突撃歩兵、光学照準、初期仕様などの銃ごとの仕様の違いも関係してきます。
これだけ多くの要素がからむため、武器(銃)のバランスの調整には十分な検討が必要になります。なんと言っても、銃は「バトルフィールド 1」でプレイヤーがゲームの世界と関わるためのメインツールであり、銃にまつわる変更はプレイ感にも大きな影響を及ぼさずにはいられません。
キルタイム(TTK)は、ゲーム中で敵をキルするのに必要な時間の平均値です。武器の“強さ”と密接な関係を持ちます。
今、武器のバランス調整を行う理由
「バトルフィールド 1」が1年と少し前に発売された時点では、プレイ体験が、その時点に合わせて細かく調整され、結果として「バトルフィールド 4」などと比べて、全体的にキルタイムが遅めになっていました。
その後、時間が経ち、ゲーム内容が進化して、またプレイヤーも慣れた結果、私たちの理想に比べてプレイヤーが苦しい思いをしやすい状況が生み出されています。キルタイムの遅さは、低い命中精度と対複数戦での不利を必要以上に拡大してしまう傾向があります。また、発売後に数々の銃が追加されたことで、当初のキルタイムの設定では、各銃・各銃種間の差別化が難しくなっていることもあります。以上と、コミュニティーからの意見を参考にした結果、「バトルフィールド 1」の武器バランスは見直しが望ましいとの結論に至りました。
武器バランス調整の導入までに長くかかった理由
バランス調整の取り組みは2017年9月前後に開始されて、それ以降、テストと調整が繰り返されてきました。Reddit/CTEを細かく追っている方は、「バトルフィールド 1 In the Name of the Tsar」のリリースに続きCTEに導入された最初のキルタイム調整テストをご存知かもしれません。おそらく、調整が一向にCTEから製品版ゲームに導入されないことを、もどかしく感じていたのではないでしょうか?
調整には数多くの要素がからみ、また少しの変更でもその影響が大きくならざるを得ないことをご理解ください。キルタイムの調整には十分な検討が必要となります。皆さんからの大量のフィードバックも慎重に考慮して、正しい調整となるように作業を進めてきました。その集大成として導入されるのが、今回の「バトルフィールド 1 Turning Tides」北海アップデートでのバランス調整となります。
武器のバランス調整による具体的な変化
武器のバランス調整の内容は幅広く、かつ複雑です。そのため、その変化を、ただちに明確に見分けることは極めて困難です。プレイ感覚が即座に大きく違って感じられるというよりは、時間をおいた上ではっきりしてくる変化と考えてください。全体としては、キルタイムの短縮により、数で押されている状況を打破しやすくなり、また武器ごと、武器仕様ごとの個性がより明確化されていることに気付いてもらえるはずです。
各交戦シナリオでの変化
以下が、今回の調整の結果、最適距離での各交戦シナリオにもたらされる主な変化となります。
突撃兵 vs.看護兵
突撃兵 vs.援護兵
突撃兵 vs.偵察兵
看護兵 vs.援護兵
看護兵 vs.偵察兵
援護兵 vs.偵察兵
武器種ごとの変更では、全体として各武器の最適距離で相手を倒すのに必要な弾数が減らされ、また、多くの武器でハンドリングが向上します。
ショットガン
変更点
o 想定通りの有効射程を超えた距離で、運よくワンヒットキルが起きる確率が減少します。
o 拡散率のグリッド分けの問題により、近距離で運悪く全ペレットが的を外す確率が減少します。
o すべてのショットガンで同じ12粒のペレットを発射。
o 各ショットガンによるダメージの差が、ペレット1粒ごとのダメージの差に基づくようになります。ペレット数の差がダメージの差となるモデルでは、ペレットの命中数の違いがダメージの差にも影響して、ショットガンの使用感をばらつかせる結果となっていました。
サブマシンガン(SMG)
変更点
o SMGの火力が強調され、ショットガンともより競えるようになります。
o 近距離戦で“撃つ”選択肢が、グレネードを投げる選択肢と同等になります。
o キルに必要な弾数が減ることで、Hellriegelなど、マガジンサイズの大きい銃の優位が減少します。
o 連射速度に基づくキルタイムの差が減少します。
o 注:必要以上の強化にならないように、Automaticoには4発キルが適用されず、5発キルのままになります。
o これにより、SMGの長距離での有効性が若干上がって感じられるようになります。
o 反動と拡散率も考慮すると、相対的な長距離での有効性は最低ランクのままです。
o これにより、SMGは長距離で若干扱いにくくなります。
o また、SMG間の差別化が図りやすくなります。
o 突撃歩兵仕様の有用性が低下し、もっともよく使われているSMGである、Automaticoの突撃歩兵仕様と、Hellriegelの初期仕様(突撃歩兵に類する設定を使用)の有用性が低下します。
軽機関銃(LMG)
変更点
o これにより、軽機関銃の素のダメージアウトプットが若干向上して、素のキルタイムが最高となります。
o このタイプの軽機関銃は、特に軽機関銃内での連射速度が最低クラスであることから、使用感的に最弱とランク付けされてきました。ダメージアウトプットの低さを補うため、このタイプは他の銃と競えるように反動がほぼゼロに抑えられてきた経緯があります。
o ADSで十分な命中精度を確保するまでの時間を長くすることで、軽機関銃がもっとも不意打ちに弱い銃であるとの位置付けが確約されます。
o SMGに比べてエイミングが遅くなります。
o 軽機関銃で命中精度を最大化するのに、より長時間撃ち続けなければならなくなります。
o すでにADS状態で射撃準備を整えていた場合には影響しません。
o 重量が重いために初期拡散率上昇の大きい軽機関銃が、バイポッドからより大きな恩恵を受けることになります。
o 横反動が非常に大きい傾向がある高連射速度の軽機関銃で、バイポッドの効果が弱まります。
o 連射速度が最低クラスの軽機関銃が多数ある中、どれも反動がほぼゼロに近かったために、使用感に個性が感じられない問題がありました。今回の変更により、軽機関銃間の差別化をしやすくなります。
o 高い反動軽減率により、突撃歩兵仕様の使用率が高くなり過ぎていました。
自動式ライフル(SLR)
o 距離をおいた戦闘では、SMGとショットガンよりも大幅に有利。
ハンドリングと素早く高い命中精度を発揮できる点では、軽機関銃よりも有利。
o 近距離では、ボルトアクションライフルよりも有利。
変更点
o これにより、自動式ライフルの遠距離での命中率が安定し、ボルトアクションライフルに対抗しやすくなります。
o この変更は、Selbstlader 1906やMondragonのような高精度、長射程の自動式ライフルで、より大きな効果が得られます。
o これにより、自動式ライフルでの射撃ごとの精度の回復が早くなります。
o また、最高速で連射した際に、有効な命中精度を維持したまま撃ち続けられる弾数が増えます。
o この変更は、M1907 SLなど、最大もしくはそれに近い速度で連射することが多い、近距離系自動式ライフルでもっとも恩恵が大きくなります。
o これにより、中距離系自動式ライフルで、より幅広い場面でベストのキルタイムが適用されるようになります。
o Cei Rigotti、Autoloading 8などの中距離系自動式ライフルでもっとも恩恵が大きくなります。
ボルトアクションライフル
変更点
「バトルフィールド 1」 を是非いますぐプレイして、新しいバランスでのプレイをお試しください。繰り返しになりますが、変更点はすぐには見えてこない可能性があります。ですが、時間とともに、プレイヤーの間で使用される武器の選択に変化が見られるようになり、正しい交戦シナリオで実力が発揮しやすくなっていることに気付かれるはずです。それでは、戦場でお会いしましょう!