今はどんなお仕事をしているのですか?
Frostbiteレンダリングチームでシニアソフトウェアエンジニアを務めています。ライティングの陰影やポストプロセッシングなど、レンダリング機能を数多く扱う「イメージクオリティグループ」で働いています。最近までFrostbitesの物理的レンダリング機能の更新と、ポストプロセッシングの技術改良に従事していました。HDRモニタにスムーズに対応できるようにするためです。
なぜビデオゲーム業界で働こうと思ったんですか?
1980年代半ば頃にはすでにビデオゲームに魅了されていましたが、ゲーム制作で生計を立てたいと思うようになったのは90年代に入ってからでした。当時の私はプログラミングができなかったので、学校では数学、物理、フランス語を学び、学術的な基礎を得ました。その後、大学でコンピューターサイエンスを学びました。大学卒業後すぐにCriterion Gamesで働き始め、2004年にそのスタジオがEAに買収されました。
EAでは最初に何を任されましたか?
Criterion入社時にまずShared Techグループに配属され、セガ社のドリームキャスト向けのオーディオやネットワーキング関連プログラミングなど、数多くのプロジェクトに取り組みました。私自身、レンダリングに強い思い入れがあったのでそれを専門とし、PS2を手にするや否やすぐにPS2のハードウェアの勉強に没頭しました。ただ、ゲーム開発に直接関わったり、RenderWare 3.xの上位レイヤーとなる技術を構築したり、その技術をゲーム間で共有したりするほうが有益だということになり、最終的にShared Techグループは解散となりました。
その後、私は「バーンアウト」のレンダリングチームのリーダーになり、エンジンの性能とアーキテクチャ関連の作業にも関わりました。こうした経験を通して、技術共有という考え方は私の心に深く刻まれました。そして数年前にCriterionからFrostbiteに異動になりました。
EAで働きたいと思った理由は何ですか?仕事で一番やりがいを感じるのはどんなときですか?
大げさにいうと、EAの人々と彼らの情熱です。EAによる企業買収の時は、私たちの多くは身構えていました。Criterionは独立系のスタジオで、協力し合える最高の環境が整っていて、それに以前、EA向けのゲームで、最終的に発売までこぎ着けなかった経験もあったんです。そのため、このような大企業の傘下に入ることに対して皆が不安を感じていました。しかし、私たちはEAの優秀な人々を何人も知っていたので、傘下に入るのはもっともなことだと、すぐ明らかになりました。EAではさらに多くのすばらしい人々に出会い、情熱、才能、向上心を惜しみなく共有する彼らに感銘を受けました。また、私たちがさらなる高みへ至れるようにと、難度の高い課題を数多く提案してくれて大きな刺激も得られました。EAから多くのことを学ぶと同時に、私たちもEAに貢献することができました。
これまで開発に関わったタイトルのうち一番のお気に入りは何ですか?
「バーンアウト 3」です。数多くの作業を前倒しで進め、開発期間を約3分の1も残した状態で、おおむね出荷可能なレベルまで仕上げました。アルファ版のビルドを出荷しても差し支えないほどでした。しかし、ゲームのあらゆる側面をひとつひとつ改良・洗練させるとともに、貴重な批評や知見を示してくれる経験豊かな人々からのフィードバックへ対応することに開発の残り期間を費やしました。その後、私はE3の展示会場で同ゲームのプロモーションを行い、非常に好感触を得ました。まさにすべてのピースがうまくはまった様なすばらしい感じで、Metacritic上でもこのゲームはEAタイトルの中で最上級の評価を得ています。
また、「バーンアウトパラダイス」も私にとって特別な作品です。この作品では、一から書き上げた新技術を基盤にして新世代ゲーム機(PlayStation®3とXbox 360)で動かす計画を立てました。同時に、ゲーム内の1日の時間経過をリアルタイムに表現したオープンワールドへと移行し、60fpsを維持しながらゲームプレイの技術的限界を押し上げることにしました。これらすべてを12ヶ月間で完成させる計画でしたが、 今になってみれば、かなり強気の開発スケジュールで、まさに難度の高い挑戦でした!最終的に開発には24ヶ月かかりましたが、すばらしい仕上がりになりました。ゲームのポテンシャルを引き出すために開発期間を延長していなかったら、そしてEAからの支援がなかったら、これほどの仕上がりになることはまずあり得なかったでしょう。
職場環境で、これが気に入っているというものはありますか?
ここには優れた人材がたくさんいます!私のオフィスには現在、2つのゲームチーム(GhostとCriterion)があり、Frostbite物理チームの大半を擁するArtworks UKも同じ場所にオフィスを構えています。そのため、開発進行中のゲームとこれから開発予定のゲームに携わるスタッフと話す機会が常にあり、アートのワークフローやレンダリング開発全般について意見を交わしたり、他のFrostbite関連分野とも楽に連携したりできます。また、仕事面で私たちとスイスや米国各地の現地時間がうまく重なっている時間帯もあるので、国外の同僚たちとコミュニケーションが取りやすい環境です。
EAで働く最大のメリットは何ですか?
同様の答えになりますが、やはり人ですね。非常に才能豊かで意欲的な人々と共に働き、日々意見を交わせることがどれほどすばらしいことか、いくら力説しても足りないくらいです。
立場上、あなたが直面する課題について聞かせていただけますか?
最大の課題はタイムマネジメントだと思います。レンダリングチーム中枢の一角を担うのは光栄です。その一員として、世界中のEAレンダリング部門をサポートしたり、人々を取りまとめてチームを作ったり、現在や将来に向けたツールやテクノロジーに取り組んだりしています。作業の優先順位付けに心を砕いていますが、増員に伴って着実にやりやすくなっています。Frostbiteレンダリングは難度の高い作業ですが、やりがいがあります。退屈することなど決してないでしょう。
ゲーム制作の仕事を志す人へアドバイスはありますか?
コミュニケーションスキル、柔軟性、誠意、強い向上心が最も大切です。新しい技術スキルはいつでも学べますが、それを発揮する心構えや態度を会得することは容易ではありません。不満や皮肉をたれるベテランよりも、経験不足を隠し立てせず、学ぶ情熱と意欲を持った人のほうが、一緒に仕事をしていて楽しいです。また、自分の成功や実績を自らの実力と認められない傾向のインポスター症候群は誰にでも起こり得るようなので、実力不足だと自己判断せず、自分を過小評価したり行動を躊躇したりしないことが大切です。まずは恐れずやってみることです。失敗したり、問題にぶつかったりすることもあるでしょうが、チャンスは逃さないことが肝要です。人は、自己評価以上の力を持っているものですからね。それから自分の直感を信じることです。
公私の切り替えやリラックスはどのように行っていますか?
家族との時間を大切にしています。また、ゲームをしたり、料理や読書も大事な時間です。幼い娘と過ごす時間は本当に楽しいです。仕事から心を解放して、親として娘と接する時間を大切にしています。
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