「FIFA」「Madden」「NHL」などのEA SPORTSタイトルは、スポーツゲームの可能性の限界に挑戦し続けてきました。EA SPORTSシリーズでは、開発チームがどのようにゲームの質を向上させているのかを見ていきます。EA SPORTSのFIFA開発チームでモデラーを務めるStefan Klippensteinに、「FIFA 17」に登場するプレミアリーグの監督について聞いてみましょう。
「FIFA 17」では、シリーズで初めて実際のプレミアリーグの監督が登場します。
開発チームはこれを実現するため、アートと科学、両方の力を駆使しました。
まずは高画質の画像を参考資料として使用する事から始まります。
EA SPORTS FIFA開発チームのモデリング担当Stefan Klippensteinの説明によると、「専用ソフトを使い、写真から監督の顔の非常に正確なコピーを作る事から始まる」そうです。その後、自動生成されたモデルをもとに5日から7日かけてゲームに実装できるよう状態していきます。なんど、作業時間の約半分は、髪の毛に使うそうです!
日程の問題で、開発チームが監督と直接会えないこともありました。自分たちで撮影が出来ない場合、チームは可能な限り監督の写真を集め、モデリングや配色を決めました。
「グラフィック担当者はスキャンした監督の素材を、別の監督の顔に『移植』する事がよくあります。こうして、ある一定の統一感を出すようです」
どのような手法であっても、Frostbiteエンジンにより「FIFA 17」に登場するプレミアリーグ監督たちは、よりリアルに仕上がっています。
「Frostbiteがリアルなライティングモデルを使っているため、グラフィッカーはゲーム内で表示される、皮膚や髪の毛をコントロールしやすくなりました」とKlippensteinは語っています。「素材をコントロールしやすくなると、キャラクターと周囲の環境との整合性を保つための基準とプロセスを明確にする必要が出てきます」
こうしてゲーム内で、より本物に近い監督のレンダリングが実現しました。開発チームが各監督の「コピー」を作り終えるまでには、いくつか段階があります。
まずは、スキャニング機器でのキャプチャー。続いて色の調整を行い、頭部のスキャニングモデルを生成します。
「スキャニング機器は、様々は機械がシンクロナイズされた移動型の撮影ブースのようなものです」とKlippensteinは言います。あらゆる角度から同時に写真を撮り、被写体を立体的にとらえます。その後、スキャニング機器の照明とカメラによる影響の調整と確認を行い、可能な限りゲーム内での色が現実に近くなるようにします。次に写真を全て統合することで、非常に詳細な頭部のコピーが自動的に生成されます。この自動生成された頭部のモデルは、ヘッドスキャンと呼ばれています。
ヘッドスキャンのデータは非常に情報量が多いので、ゲームのフレームレートへの負荷を減らすために、ここからアーティストはデータを簡略化させていきます。これはヘッドスキャンのデータに「収縮させてパッケージング」するプログラムを使って行われます。この簡略化されたモデルは、ゲームメッシュと呼ばれています。このモデルがやがてゲーム内での監督の頭部になります。
その後ゲームメッシュに手動で調整を加え、写真データをゲームメッシュに乗せて、テクスチャをつなぎ合わせます。
次にゲームメッシュはより高解像度の形状に細分化され、しわや凹凸などを表面に戻す作業が行われます。このディテールは通常のマップ、つまりゲームメッシュ表面に当たる光を屈折させ、実際より詳細に描写されているように見せるテクスチャで表現されます。
頭部が完了したら、今度は撮影した写真を見ながら、MayaとPhotoshop上で髪の毛のジオメトリとテクスチャを手動で細かく再現します。監督にはゲーム内データベースから適切なボディタイプ、スーツ、目の色、肌の色が割り当てられます。
最後に、ゲーム内の監督の顔や身体にプロポーションやモーションを移行させるゲーム内スケルトンをチームが調整して、監督の体型、首の長さ、頭部の形状をカスタマイズします。
Frostbiteエンジンの力で「FIFA 17」はゲーム内のあらゆる物を忠実に再現する事が可能になりました。「Frostbiteは肌や髪の毛のシェーダー再現度を向上させ、様々なライティング環境下でオールラウンドにグラフィックの質を高めてくれる」と、Klippensteinは言います。
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