Battlefield Hardlineの個性的な落書きアートの舞台裏
EA STAFF
2015-04-07

ゲーム開発に貢献する方法は数百種類、時には数千種類にも及びます。
グラフィックアーティスト、デザイナーとプログラマーはそれぞれの個性的な視点を職場に活かしており、その専門的なスキルはすべてのゲームにおいてさらに没入型の環境を生み出す要素となります。
Battlefield Hardlineの設定を作るために、Visceralはゲーム内の無数の壁に何十もの落書きアートを取り入れました。
これらの素晴らしいアート作品についてもっと知るためにBattlefield Hardlineのシニアコンセプトアーティストであるパトリック=オキーフをインタビューしました。
子供時代に初めて落書きアートを見た時のことは覚えていますか? 子供時代はどんなアートを作っていたのでしょうか?
幸い私は1990年代の落書きアートシティとして有名なトロントで育ちました。小さい時は兄の影響でヒップホップの世界に興味を持ち始めました。 都市ではいたるところに壁画がありました、才能があふれるクルーが本当にインスピレーショナルな作品を作り出すんです。 最初はスケッチブックとか小学校や近所に落書きをすることで練習しました。
高校に進学してからはさらに真剣にアートに取り組むようになり、クルーと協力して落書きするようになりました。 一週間に一回、街のとある場所にある屋上、駅構内や路地裏を探検して落書きしました。
はじめて美術に興味を持った理由は何ですか?
絵は幼い時から描いていましたね。兄の美術用品やスケッチブックを盗んだり、アイディアを真似して描いたりしていました。 私の夢は兄を超えることでした。兄の美術に対する情熱に触発されて私も他の人から賞賛されるような、兄が作るような作品を作りたいと思いました。
世界中で落書きアートが人気があるのはなぜだと思いますか?
いつの時代も視覚芸術は一般庶民にとってもっともなじみやすい媒体でした。落書きアートは一般庶民のアートなので、人気が出るのもはやかったし広まりやすかったと思います。 落書きアートはどんなスキルレベルでもあるいはどの年齢のアーティストでもアクセスしやすく、作成にかかる費用もリーズナブルなアート形式だと思います。 世界はどこもかしこも空白の壁に囲まれています。 まったく編集されていない生の美術形式は落書きアートくらいでしょう。 落書きアートでは誰でもなんだって出来るんです。 落書きアートは一般庶民の声を代弁することが多いです。このようなアートは匿名の人の希望、ニーズ、欲望、要求、感情やアイディアを形にしたものです。
ゲームのための落書きアートを見直す際に行ったリサーチはどんなものでしたか? アート作品をなるべく現実に近いものにするためにチームと協力する際にどんなことに気を付けましたか?
実は、それぞれの都市のエリアコードを確認すること以外はあまりリサーチは必要ありませんでした。 私は既に落書きアートやストリートアート業界のファンであり貢献者だったので必要ありませんでした。 このプロジェクトを完成するためには、現実世界の壁に作り出すアートをデジタル世界の壁に再現する必要がありました。
一つの落書きアート作品を下書きからゲームに組み込むところまでの過程を説明して頂けますか? どんなステップを取っていますか?
ラ・サンタ・ムエルテの壁画を作る際は、マーカースケッチから始めました。今でもレイアウト、特にキャラクターの下書きを本来の媒体で始めるようにしています。 この絵は特定の宗教や文化を暗示しているので、その意味も含めて再現するためにリサーチを行いました。 スケッチをスキャンしてからフォトショップで色を付けたりディテールを追加したりしました。
いつでも簡単に変更できるようにレイヤーを重ねて作業していますが、一つのアイディアに縛られることがないようレイヤーは増やしすぎないように気を付けています。 絵が満足できるような出来にまで仕上がると、レイヤーマスクを作成して摩耗や時間の経過を表現するためにテクスチャーが入ったフォトショップブラシを使用します。 作品が完成すると、環境アーティストが受け継いでゲームに取り入れます。
落書きをゲームに組み込むためのプロセスはどれくらいかかりましたか?
私は一日で何作もの壁画を作ります。 この工程は結構はやいもので、ゲーム全体の落書きアートをすべて作るのに数週間しかかからなかったと思います。
現実的な落書きアートとは何でしょうか?
本物のストリートスタイルを持つことが必要であり、正しく仕上げるにはハンドスタイルを慎重にコントロールする必要がありますが、この時バランスも重要になります。壁にあるものすべてが完璧にそつなく仕上がるとは限りません。 私はいつもメインのアートの他にも隅の方に、またはメインのアートに隠れる形で若干雑な落書きをたくさん作るようにしています。
この時はラフな感じを出すために利き手じゃない方の手で描いたり、ペンを子供の用に手のひらでつかんで描くようにしています。 一度落書きアートが完成すると、さらにテクスチャーブラシで時間の経過を表現して摩耗を再現し、荒れた表面で描かれたと言う印象を作り出します。
EAで働きだしたきっかけは何でしょうか?
美術は高校の時から勉強を始めて、その後実家のトロントの郊外にあるオークビルのシェリダン大学でイラストレーションの学士号を取りました。 2年間のイラストレーションの勉強の後、私はもう一つの夢である映画デザインの分野を勉強するためにバンクーバーに移りました。
大学4年の時にはバルデルアニメーションのストーリーボードアーティストとして就職が決まっていました。 卒業の数か月前に、エレクトロニックアーツからコンセプトアーティストとして働かないかと言うオファーを頂いて、それから7年間、3つの拠点でエレクトロニックアーツで働いてきました。 初めてのお仕事はNeed for Speedチームと働くことでした。ゲーム内の落書きアートを担当してほしいというのが雇われた理由でした。
あなたがはじめてゲームに興味を持った理由は何ですか?
若い時にはたくさんのゲームで遊びました。 1990年代はゲームにとって良い時代だったと思います。 クラシックな16ビットのセガや任天堂コンソール対応の楽しいゲームがまだ作られていた時代で、次世代システムであるニンテンドー64やプレイステーションが革新的なアート形式でゲーム業界をその後本格的に変えていきました。
ゲームの他に仕事で取り組むものがあるとすれば、どんなものがいいですか?
コンセプトアートはゲーム制作で重要ですが、コンセプトアーティストのほとんどがゲーム製作者である前にまず自分はデザイナーまたは絵描きであるという自覚を持っていると思います。 ですから、もし自分が今ゲーム制作にかかわっていなかったら、映画または宣伝のアートを作成しつづけていたと思います。
まだ仕上げていない本も数冊まだ残っているんです。 もし、自分がアーティストにならなかったら理系に進んでいたと思います。高校生の時は物理、地質学や天気系を勉強することを真剣に考えていた時期もありました。
