• 開発者の声 「Battlefield V」 : リアルタイムレイトレーシング 「Battlefield V」で実現する真にリアルでダイナミックなリフレクションについてご紹介

    DICEはリアリズムに裏打ちされた他にはないゲーム体験を生み出すことで知られています。そして今回、 「バトルフィールド」シリーズ初となる、リアルタイム・レイトレーシングの導入が行われました。DICEテクニカルディレクター、Christian Holmquistは、PC 「Battlefield™ V」の真にリアルでダイナミックなリフレクション(反射光の描画)をどのように可能にするかを語ります。

    ゲームのデザインプロセスでは、視覚効果としての光と影、そして反射を考えることが極めて重要になります。そこには、プレイヤーがゲームの世界に没入できるように雰囲気を高めることと、三次元物体の形状と質感を伝える視覚情報をもたらすことの二つの意味があります。

    バトルフィールド・シリーズ全体を通して、これらの要素はゲーム中で質感の高いリアリズムを実現することに貢献してきました。「バトルフィールド 1」の破壊されつくしたパッシェンデール の荒涼とした光景を生み出す上で、光と影、反射の果たす役割の大きさを考えてみてください。

    「バトルフィールド」のグラフィックは常に目を見張るものでしたが、DICEは従来のラスタライズ技術をさらに越えることで、クリエイティブの限界を押し上げようとしています。

    DICEテクニカルディレクターChristian Holmquistは、ラスタライズ法を3Dモデルを構成するトライアングルのメッシュを画面上のピクセルに置き換える技術と説明しました。

    各トライアングルには頂点(バーテックス)があり、それぞれがメッシュ上の他の頂点と関係を持つことになります。ラスタライズ法においては、現在の視点において、各トライアングルがどのピクセルと重なるか判断し、各ピクセルの色を計算して画面に描画します。

    ここでChristianは、物体同士が互いに関係を持つ場合にラスタライズ法は極めて難しくなると指摘しました。この場合、個々のトライアングルが描画されるシーン全体を把握していなければ、そのトライアングルを正しく描写できないからです。

    しかし、リアルなビジュアルを作成するための新たなアプローチは、リアルタイム・レイトレーシングを介して発展が進められて来ました。この技術はCGムービーと関連するもので、これまでに見たことがないようなレベルのグラフィカルフィデリティでのゲームプレイ体験を可能にします。

    Christianはこれに関して、「これは私たちが長年ずっと待ち望んでいたものです」と熱を込めて語ります。「現在は、個別の物体をほぼ完璧に近いリアルさで描画することについては、相当なレベルに達しています。ですが、複数の物体が関係を持つ反射や影、グローバル・イルミネーションでは、レイトレーシングがとても重要な役割を果たします。」

    レイトレーシングにより、反射光、間接光、アンビエントオクルージョン、フレネル反射(入射角により反射率が異なる反射)に関するこれまでの限界を超えられる可能性が生まれています。

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    「私たちが初めて、リアルタイム・レイトレーシングをArctic FjordやRotterdamマップに実装したとき、それは本当に素晴らしいものでした!」と、Christianは思い返して胸を躍らせます。

    レイトレーシングは、基本的には多数の視点から光線(レイ)の進む道を計算し、その光のシーン中の3Dオブジェクトに対する振る舞いをシミュレートするアルゴリズムです。光線がシーンの中を進む過程で、その軌跡上にある全オブジェクトの色と光の情報が集積されます。そして光線の経た過程をすべて総合してピクセルの最終的な色が決定され、それが画面に表示されます。

    窓や車、戦車、街灯、タイル、水たまり、武器などの滑らかな表面から飛んで来る光線には、反射によりそれぞれの物体の周囲の物が映し出されていることになります。

    表面の構造が複雑だったり、ザラザラしていたり、あるいは凹面であったり、透明であったりする3Dオブジェクトでも、それぞれに合わせた反射を見ることができます。現実世界でそうであるように、「プレイヤーがその周囲をどう動くかに関係なく、反射はそこにあるのです。」とChristianは付け加えます。「シーンや表面の複雑さも関係ありません。レイトレーシングがあれば、正しい結果に常に行き着くのです。」

    「鏡のようにくっきりとした反射ばかりではありませんが、後ろで起きた爆発で飛び散った破片が前方の車体の表面に映し出されるのを見ることもできるでしょう。」

    「Battlefield V」の世界はリアルに感じられなければなりません。それがすべてです。

    ラスタライズ法では、画面外の物体の映り込みを効率良く描写することはできません。これは現在のスクリーンスペース・リフレクション(SSR)技術の限界です。この技術はスクリーンスペースのピクセルデータを反射の計算に用います。濡れた表面や水たまりの細かな反射を表現するのによく使われる技術で、「バトルフィールド 3」のジェニファー・ホーキンス中尉が、 Going Huntingで自機のF18に乗り込む際の濡れたフライトデッキを思い出してみてください。

    ですが、反射を他の光源や発光体もすべて計算に入れつつリアルタイムで描画することにより、はるかに写実的で現実感のあるゲームを実現することができます。Christianの言葉を借りるならば、「『Battlefield V』の世界はきっとリアルに感じられます。これについて疑う余地はありません」ということです。

    当然、そこには困難もあり、Christianはこう説明しました。「透明化や半透明化は、レンダリングにおいて常に複雑であり、レイトレーシングにおいてはよりいっそう複雑になります。また爆発も正しい描写を実現するために膨大なパーティクルを追加するため、扱いの難しかった例です」と語ります。それらの効果の設定がなされた後、レイトレーシングの光線(レイ)を使い正しい色を計算できるようになります。その実現にはDICEのレンダリングチームの多大な労力がつぎ込まれることになりました。

    しかし、その結果リアルタイム・レイトレーシングがもたらしたグラフィックの進歩は非常に満足のいくもので、Christianは、1990年代に3Dグラフィックのハードウェアアクセラレーションの登場がもたらしたのと同じような、恐らくは10年に1回のグラフィック技術の革新であると語っています。

    そして、今後のレイトレーシングについては、「物体同士の相互干渉の描画品質が上がるだろう」と感触を語りました。具体的には、さらに高度なリアルタイムの反射が見られるシーンや、描画の詳細度の向上、レイトレーシングによる影の描写、アンビエントオクルージョンや拡散光によるグローバル・イルミネーションなどが考えられます。

    レイトレーシングの高度なアーキテクチャとDICEレンダリングチームの尽力により、「Battlefield V」PC版は、過去最大の革新的な「バトルフィールド」タイトルの一つとなっています。Christianはさらに付け加えます。「リアルタイム・レイトレーシングは、より物理的かつ没入感があり、視覚的に圧倒される体験を作り出し、『Battlefield V』がこの技術を活用する最初のゲームになることに関してとても興奮しています。私たちはレイトレーシングをファンの皆様にお届けするため、NVIDIAと手と手を取り合って取り組んで来ました。そして、DXRの改善および最適化に継続的に献身して来ました。」

    NVIDIAのGeForce RTX 20シリーズグラフィックカードがあれば、プレイヤーは「Battlefield V」でDXRリアルタイム・レイトレーシングの初リリースをその目で今すぐ体験することができます。

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