「The Sims」の25周年を祝おう:Josh Contreras
「The Sims」の25周年を記念して、ゲームの舞台裏を支えるチームが、大きな影響のあったアップデートを振り返ります。

この25年間、チームは人生の多くの可能性を反映するような奥が深く、考えさせる、本物の体験を作り出すことに情熱を注いできました(あったらいいなと思うようなちょっとした空想の可能性も追及してきました)。ですが、人生とはとても大きなものだということがわかってきました。だからこそ私たちは、「The Sims」のユニバースを、プレイヤーコミュニティを表現するようなストーリーテリングのプラットフォームになるよう拡大するために、新コンテンツや機能を導入し続けています。
今なお続く25周年記念の一環として、私たちはチームメンバーにインタビューをして、「The Sims」のチームに加わってから最も大きな意味を持つプロジェクトについて聞き、彼らのユニークな視点が、過去25年間にわたって追加し続けてきた機能やアップデートの方向性にどのような影響を与えたのかを探りました。その機能のひとつである「恋愛の境界線」は、その開発を最初から最後まで監督したシニアゲームデザイナーのJosh Contrerasにとって、特に意味のあるものとなりました。

「The Sims」でのあなたの最初の役割は? それから、その後どのように変化しましたか?
2019年8月から、Maxisと協力して働いています。実は、元々2019年1月にEAで雇われたんですが、Maxisの1階上にある別のスタジオで働いていました。「Command & Conquer Rivals」のメンバーだったんです。ですが8ヶ月くらい経った後Maxisに異動して、それ以降ずっとここで働いています――6年近くになりますね。
私がMaxisに参加した当初、デザイン部門は実際には、システムデザインとテクニカルデザインの2つの分野に分かれていました。私はシステムデザイナーとして、主に機能セットの設計を担当していました。一方でテクニカルデザイナーは、その機能セットを実際にソフトウェアに実装する役割を担っていました。
時が経つにつれ、この状況はかなり変化したと言えます。その理由は、部署の変更が一部要因ですが、私の個人的なキャリア目標も影響しています。その目標のいくつかは、デザインリードの役割を負うことに関連するものでした。現在取り組んでいるプロジェクトにおいて、デザインリードを担当することになりました。別のチームメンバーと共にプロジェクトを共同でリードしています。これは私にとって初めての経験です。大変刺激的な日々で――困難もたくさんありますが、楽しいこともたくさんあります。
最初に取り組んだのは何ですか?
当時、チームは「Discover University」拡張パックの開発に取り組んでいました。私は法律とエンジニアリングのキャリアで手助けをしましたし、ジュースポンにも協力しましたね――かなりバラバラな仕事でした(笑)。大学を卒業してから1年半か2年してすぐにEAに就職したので、原点回帰のような感じでした。大学に通って実際にゲームの中のようなことをした後で、自分の仕事で「おお、これは大学に関係した仕事をしているぞ」と感じたわけです。
「The Sims」でとても興味深いと思うことの1つは、このゲームには非常にたくさんのコンテンツがあって、本当に歴史が深いことですね。今はまさに25周年の歴史をお祝いしているところですよね。ここで仕事をするうちに、スタジオとしてどのように機能しているのかといったことや、プレイヤーが求めるものについて、よりよく理解できるようになったと思います。

今まで取り組んできた中で、一番大きな意味があったものは何ですか? その理由は?
私にとって最も意味のある機能は、実は「恋愛の境界線」という機能です。これは「Lovestruck」拡張パックと共にゲーム本編の機能としてリリースされたので、ゲームをお持ちの方なら誰でもアクセスできます。私はデザイン面での機能のオーナーだったので、ゲームプレイエンジニアなど他のさまざまな部門と協力して、この機能をゲームに組み込む仕事をしていました。
これは私にとって重要なことでした。なぜなら、恋愛の境界線を追加したことで、プレイヤーはシムが嫉妬する・しないアクションを管理できるようになったので、これまでにできなかった全く新しいダイナミクスのストーリーテリングが可能になったからです。これ以前には、プレイヤーは嫉妬の管理はまったくできませんでした。嫉妬するように私たちが設定したものは何であれ嫉妬を引き起こす、それだけでした。こうした状況やダイナミクスをプレイヤーが管理できるようにしたことはとても影響力があります。というのも究極的には人生に関するゲームで、私たちは皆違うやり方で交流するからです。そして本質的に、この機能は人々が独自の物語を語る新たなレンズを作り出します。
この機能を初めて公開した場所の1つが、「Lovestruck」開発チームのライブ配信でした。反応はとても好意的でした。原因の多くは、機能を構築するときに、必要事項をすべてチェックして、その種の行動タイプを適切に表現できるように細心の注意を払ったからだと思います。この種類の行動は、できるだけ本当らしく、可能な限り最善の方法で表現したかったので、私は調査や人生経験を共有してくれた人々との対話、そしてコンサルタントとの協力に多くの時間を割きました。
あなたの個人的な体験は、どのように仕事に関係していますか?
具体的な体験を挙げられるかはわかりませんが、自分の人生経験、家族構成、自分の生まれ育ち、自分が行った学校… そういった人生経験すべてが自分の一部になっていると思います。それが今の私を形作ったのであって、また、一緒に働いている人たちによってそうした経験はこの先もさらに積み重なっていくわけです。人生は本当に十人十色です。
私の父はメキシコ人なので、家族のそうした面から学んだりしたりした慣習や伝統はたくさんあります。なので、その点において、ユニークなものを提供できていると思います。繰り返しになりますが、それは「The Sims 4」のようなゲームに取り組むことの素晴らしい点の1つでもあります。プロジェクトに携わるいろいろな人たちと集まって、自身について語ったり、人生経験を共有できたりすることですね。

Maxisにとって、プレイヤーが「The Sims」で自分を表現できることは、どれだけ重要ですか?
「The Sims 4」の中で本当の自分を表現できるようにすることは、基本的に、このゲームで私たちがしようとしていることすべての核心にあります。人生は人それぞれ、別々の人生経験があるから唯一無二になれるんです。このような形でインクルージョンが実現されている環境にいられるのは、嬉しく思います。そうした表現ができる力をプレイヤーの手に届けることも、本当に重要だと思います。これは人生をテーマにしたゲームです。誰もが認められたいと思っている。誰もが自分の声を聞いてほしいと思っている。なので、プレイヤーが物語を語り、自分を表現できると感じられるツールをさらに提供できれば… 私たちの目標は達成できたと言っていいでしょうね。
